福祉施設で働くことは、他の仕事では味わえない良さがあります。
一方で大変な部分もあることも確かです。
今回は、身体障害者の活介護事業所(デイサービス)で10年働いて感じたこと(良かった点、難しかった点)や、スタッフとして働くうえで大切なポイントについて書いていきたいと思います。
なお、あくまで僕がいた施設での感想ですので、他の施設と状況が違っている場合があります。
この記事の内容
働いて良かったところ
残業、休日出勤がない(少ない)
基本的に生活介護事業所での仕事は主に、利用者さんの日中支援・介助なので、利用者さんが帰宅されれば、業務は少なくなります。
所長など管理者の場合は書類作成などいろいろとありますが、スタッフ(生活支援員)はミーティングや利用者記録以外は、そこまでありません。
なので残業も少ないですし、施設の開所・閉所もあらかじめ計画を立てているため、休日に出勤しなければならないということもないです。
施設運営自体が営利団体ではなく、国や自治体から予算をもらって限られているため、残業や休日出勤はなるべく減らしていく方向にあります。
なにか話し合わなければならない問題がある、大がかりな年中行事の準備があるなどで、残業をすることはありました。
ただ、これらはそれぞれの施設による部分があるかもしれません。
人の役に立っていることを感じられる
福祉施設で働く前は、お客さんと言えば、その日限りの関係でした。
生活介護(デイサービス)では、通所される利用者さんと長い付き合いになります。
週5日通われる方とは、毎日顔を合わせます。
日々、接する中で、介助をしたり、レクリエーションをしたり、ある時は相手の話を聞いたり、またこちらからも話をしたり、、、
そうしてお互いに信頼を築いていくことで、成り立っている仕事だなぁと感じます。
やはり利用者さんの介助や、頼まれたことをしたりするので、よく「ありがとう」と言われます。
そうした時に、自分が利用者さんの役に立っているんだなと感じることができます。
自分が働いていく中で、利用者さんが楽しんでいる、喜んでいる様子を見ていると、頑張ってよかったなと、こちらも嬉しい気持ちになります。
利用者さんの安心・安全につながっていることが、スタッフの役割でもあります。
生活に近い雰囲気の職場
生活介護事業所は、利用者さんにとって日中の暮らしの場です。
なので、なるべく施設っぽくなく、落ち着けるアットホームな内装、インテリアを施しているところもあります。
壁をウッド調にしたり、おだやかなBGMを流したり。
いわゆる「会社」って感じではなく、「人が暮らす場所」って感じです。
職場がそのようなところなので、働いている自分自身もおだやかに生活している中で、利用者さんのサポートをしている様に感じてました。
働いて難しかったところ
給料が安い
やはり他の業種に比べると安いです。
というのも、基本的に法律で決められているため、施設で勝手に給料を上げることができないのです。
そもそも施設に入ってくるお金も、国や自治体からなので限りがあります。
それでも様々な工夫をして、スタッフの手当や福利厚生に回している施設もあります。
独身はまだやっていけますが、家庭を持っているところは、法人内で別の施設にも勤めている人もいます。
日中は生活介護事業所で働き、その後、グループホームやショートステイ(利用者さんが寝泊まりしている施設)に夜勤で働くというところもありました。
昼休憩が取りにくい
特に小規模・中規模施設で、昼食介助があると、昼休憩が取りにくいです。
利用者さんは常にいて、介助の要望があったりするので、スタッフの数が休憩で減ってしまうと、介助の手が足りなくなったり、見渡す目が少なくなって安全面でリスクがあったりするのです。
この点も、施設によって状況が異なる部分かもしれません。
みんなが楽しめるレクリエーションを考えること
高齢者のデイサービスに限らず、生活介護事業所でもレクリエーションはいろいろと難しい面があります。
障害によって手が動かせる人・動かせない人、計算ができる人・出来ない人がいるので、スタッフがサポートして、なるべく参加できるよう、楽しめる様にと工夫しています。
それでもみんなが楽しめるものを考えるのは難しいですね。
また同じレクが続くと、マンネリ化しますし。
逆に、気に入ったレクを毎日やりたい!っていう利用者さんもいますが(笑)
それでも、インターネットで調べたり、新入スタッフが、まだやったことがないレクを試したりして、トライしていました。
既存のゲームでも、利用者さんに合わせて独自ルールにしていくということもやりました。
この辺りは経験やセンスが必要になります。
続いて、スタッフとして働く上で大切なポイント、よくある質問、必要な資格、求人や転職サイトを紹介していきます。
スタッフとして働くうえで大切なポイント
なにごとも最初からできるということはありません。
ですので、これが出来ないと働けないと思わず、「ああ、こういう点に気を付けて、伸ばしていったら良いんだな」と思って読んでいただければと思います。
細かな配慮
利用者さんの中には、なかなか自分の要望や思っていることを言葉にできない方もいます。
そうしたことを気にかけて、気持ちを汲み取ったり、声をかけたりする配慮が大切です。
周囲にアンテナを張る
スタッフの人数は限られており、利用者さんの人数の方が多いことが普通です。
平均するとスタッフ1人辺りで、大体2~3人の利用者さんを見て行かなければなりません。
もちろん利用者さんの介助をしている時は、その利用者さんに集中しますが、
介助がなく、利用者さんと雑談などをしている時は、話しながらも、周囲を見渡して、「介助を必要としている人はいないか」「〇〇さんが別室に移動したな」「もうすぐお昼準備の時間だ」など、様々な気にかけています。
相手の価値観・気持ちを受け入れる
利用者さんは、個性的な性格の人やこだわりの強い人もいらっしゃいます。
周りから見て、それが合理的でなく感じ、「こうしたらいいじゃないか」と思うこともあります。
それが介助の方法にまで関わってくることになると、なおさらそう思うんですが(笑)
すぐに否定するのではなく、いったんは「そう考えているんですね」と受け入れてから、こちらの意見を話した方が、結果的に物事がスムーズに進みます。
人はそれぞれ自分の中の価値観、ものさしがありますが、それを柔軟に出来るかどうかですね。
まとめ
スタッフ、利用者ともに良い人たちに恵まれ、また改善もされていったので、最終的には人間関係や仕事自体に思い悩むということはありませんでした。
ですのでここで書いたことは「あくまで理想だ」と思われる部分もあったかもしれません。
福祉施設で働くということは、人を相手にする仕事なので、正解というものはなく、またスタッフそれぞれでも考え方・感じ方が違うので、それが難しく感じるところでもあり、素敵に感じるところでもあります。
人にフォーカスを当てていく仕事なので、そういったことに興味のある人にはお勧めかもしれません。
利用者さんの支援を考えていく中で、
幸せってなんだろう?
豊かさってなんだろう?
そう考えさせられることもある仕事です。