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「がん患者本人に家族はどう声をかければよいか?」ごごナマ きわめびとより

最近、「がんは万が一ではなく、二分の一です」という様なフレーズのCMが流れています。

それだけ現代の日本ではがんの発症が高くなっているという事ですが、一方でそれを自分の事と思う人は少なく、実際にがんになった時に初めてどうしたらよいかと慌てたり、ショックを受けたりします。

また、周囲にいる家族も、どの様に接したらよいのだろうかと、悩むことも多いそうです。

2018年11月16日、NHK「ごごナマ 助けて!きわめびと」では「チーム家族で向き合うがん」と題して放送されましたが、関心が高かったためか、今年1月11日にアンコール放送されました。

社会福祉士、精神保健福祉士の池山晴人氏がきわめびととして出演されました。

ここでは

「本人と家族の心情」

「池山氏監修の会話例とアドバイス」

そして、テレビでの紹介ということもあり、ポイント部分がサラッと流れる様に過ぎて行ったので、整理・補足して「まとめ」で文章にしてみました。




患者本人の気持ち と 家族の気持ち

実はがんと診断された時、患者よりも家族の方が不安が大きい場合があると指摘する専門家もいます。

家族ががんと診断されて、自分も気持ちの整理がつかない状況の中、ショックを受けている本人に対してどう接していけばいいのか分からない、どんな会話をしたらいいのか分からないという悩みが多く聞かれます。

また、患者本人と家族との間で、このように気持ちのすれちがうことがあります。

患者本人

「心配させたくない」

「申し訳ない」

「どうせ分かってもらえない」

家族

「一番つらいのは本人」

「支えなければ」

「でもなんと声をかければ、何をしてあげればいいのか分からない」

家族としては気持ちが先回りして、いろんな情報を集めて、本人自身の気持ちを置き去りにしてしまい、関係が深刻になってしまう場合もあります。

では、どのようにコミュニケーションを図るのが良いのでしょうか?

次に池山氏監修で作成された「適切でない会話例」と「理想的な会話例」、そして池山氏のアドバイスを紹介します。




適切でない会話例

患者「やっぱり、がんだった…。これからどうしたらいいんだろう」

家族「何を弱気になっているの?もっと前向きにならなきゃだめよ

患者「なんで僕なんだろうか…」

家族「あんなにタバコはやめないとダメだって言ったのに。だけど今はがんは治る時代だから!頑張らないとだめ!

患者本人が前向きになれない、どうしたらいいのかという気持ちを、家族がまずいったん否定せずに受け入れてみる。

「頑張らないとだめ」という否定ではなく、「今、そういう気持ちなんだね」と受け入れることが大切です。

「あんなにタバコはやめないとダメだって言ったのに。」という言葉は、おそらく本人もやめておけばよかったと思っているかもしれません。なので、過去の事ではなく、今と少し先ぐらいのことに焦点を当てて話してみることを考えてみてはいかがでしょうか。

「がんは治る」は、これから治療を受ける時期に、安易にいう事は気を付けた方が良いです。

理想的な会話例

患者「やっぱり、がんだった…。これからどうしたらいいんだろう」

家族「これからのことを考えると不安よね

患者「なんで僕なんだろうか…」

家族「確かに過去を振り返ってしまうよね。でも、私はあなたとこれからも人生を歩んでいきたいと思うから、今は治療を一緒に頑張っていこう」

「不安よね」は、相手の現在の気持ちにそのまま焦点を当てて、その気持ちを受け入れています。

「私はあなたとこれからも人生を歩んでいきたいと思う。」は、この時期、家族は自分の気持ち、思いを押し殺してしまう傾向があります。

ですので主語を「私」にしてもらって「私はこう思う」と伝えて頂くのが一つのアイディアだと思います。

「一緒に」は、様々なアンケートで、患者さんが声をかけてもらう中で一番うれしかったキーワードとして出てきたのが言葉でした。




ポイント・まとめ

池山氏のポイントをまとめて、必要に応じて自分なりに補足してみました。

・相手の気持ちを否定せず、まずは受け入れる。

(補足)悩んでいる気持ちに対して共感する、寄り添う事がまず大事だという事です。

とはいえ、何でも無理に受け入れる必要はありません。相手の気持ちに対して、共感できない、理解できない場合には、「そう思っているんだね」「今、○○なんだね」という声掛けでも良いです。相手の話した内容そのものではなく、そう思っている現状を受け入れるという姿勢です。

・過去のことを話すより、今と少し先のことを話す。

・「がんは治る」と安易には言わない。

・主語を「私」にして「私はこう思う」という話し方をする。

この様な話し方をすることで、家族側は自分自身の気持ちを話しやすくなります。

(補足)主語を「私」にして話す方法は、別の理由で使われることが多いです。「○○だよ」と話すと、世間一般の常識の考え・絶対的な考えだととらえられ、聞いた側には威圧的に感じてしまい、自分なりの考えを話しにくくなります。

「私はこう思う」という言い方をすることで、あくまで自分個人の意見であることを伝え、聞いた側も自分の意見、気持ちを言いやすくなるのです。

医療での患者、福祉での利用者さんとの会話でよく使われます。

・「一緒に」という言葉が一番うれしかった言葉。

(補足)がん患者に限らず、悩みを抱えている人は孤独です。そんな中、「一緒に」と声をかけてもらえるだけで、前向きになれます。




人の感じ方はそれぞれあると思います。

「適切でない会話例でも元気になれるよ」という人もいるかもしれません。

また感じ方は、世代によっても違ってくるようにも思います。

昭和の映画やドラマを見ていると、「馬鹿野郎!」と一発殴って励まして「そうだな、俺が悪かった」なんてシーンがよくあります。

それは極端かもしれませんが、

励ますつもりで、本人の弱気な発言をついつい「そんなこと言わないでさ」「元気出そうよ」とというアプローチしがちですが、本人にとっては「今の気持ちを否定された」と感じてしまいます。

もし僕が患者で、家族からこういう風に言われたら、「ああ、分かってもらえないんだな」となって、心をふさいじゃいます。

まず相手の気持ちを受け入れること・共感すること、寄り添うこと。

そして1人ではないよという気持ちを伝えること。

これが大切なことだと思います。